ティッシュ取り | 「達人への道」

ティッシュ取り

昨日はジークンドーを経験後、現在は身体力学研究会に通っているお客様が操体施術に来られました。気配の消える動きでティッシュ取りをやって欲しいというリクエストがあったので実演してみました。                                                                                                             
                                                                                                                                                                         
                                                                                                                         ココログのブログでも何度か紹介していますが、真正面に向かい合い、守者は相手の胸の前に掌をしっかりと開いてティッシュを乗せる。攻者は腕を下へだらりとおろした状態からティッシュを取る。守者は取られないように掌を閉じるというものです。攻者は予備動作のない攻撃、気配のない攻撃の練習。守者は八方目で気配を感じる練習です。お互いのレベルによって取れたり、取れなかったりでとっても奥が深い練習方法です。                                                                                                                                                                                                                                                                   攻者のコツとして、第一段階としては、まずは最短の軌道を身体に滲みこませることだと思います。ティッシュを取ったところから元に戻すという作業を何度も行います。これにより、最短の軌道を身体に滲みこませるのです。順突でも逆突きでもかまいません。突いたところから引いてくる練習をするのと同じです。いかに遠回りしているのかが自覚できることと思います。                                                                                                                                                                                                                                                            第二段階として肩を最後まで動かさない練習をします。肩が力んで動くともう気配が相手に伝わります。真下に下ろした腕を肘から先だけを動かすことにより、相手に気づかれずに距離をつめることがコツです。一般的に少林寺拳法では肩腰を返すことが重視されますが、最初から大きく肩を入れようとすると相手に情報を与えることになり、かわされてしまいやすいです。肩を返すのは最後の最後でいいのです。                                                                                                                                                                                                                    第三段階として腕を上げるのと膝を抜くのを一致させる練習をします。膝の抜きを利用するとより気配が消えて取れる確率がアップします。最初は大きく膝を抜いて落ちるイメージ。ちょうど膝カックンをされたようなイメージです。できるようになればそんなに大きく膝を抜かなくても自然とできるようになってくると思います。                                                                                                                                                                                                                  第四段階として意識の操作です。まずは「取った」という攻撃意識を相手にしっかりとぶつける練習。これで相手がピクっと無意識筋肉反射を行えば、そのときにスッと手を伸ばせば反応できずにティッシュを取れます。これは乱捕りなどで相手に圧迫感を与えて「突くぞ!」という意識をぶつけ、相手が居着いた瞬間に攻撃したら当たるのと同じです。ただし、これはこちらが優位に立っているときしか使えません。(自分より強い人にはできないということです)                                                                                                                                                                                                                                             第五段階として何も考えずにただ取るというのをやります。こうなればもうテクニックではなくなります。操体の師匠に教わったコツは「ただ動く」ということです。心身がリラックスして攻撃意識を無くせば相手は反応できません。やはり身体が練れてくると気配が消える動きになってくるようです。これが乱捕りでいつでもできたらもう達人なのですが、実際にはとても難しいです。乱捕りでは「当てたい」という欲が出るし、お互いに緊張状態でスタートするからです。構えるということ自体が緊張と気配を生みます。特に初めての相手と乱捕りするときはなかなかリラックスできません。まだまだ宴会芸の域を出ることができないということです(>_<)                                                                                                                                                                                                                       他に簡単な取り方としては相手にフェイントをかけて開く瞬間を狙うというのもありです。これは構えた瞬間を狙いうちするのと同じです。後、右手と思わせて左手で取るのもあり。「意表をつく」のは常套手段です。一瞬横見をして相手の意識を横へ誘導した瞬間に取るのもあり。要するに取れたら何でもありなのです。そう考えるとものすごく色んなバリエーションが生まれて面白い練習になります。                                                                                                                                                                                                        守者側のコツは相手の手先を観ないこと。八方目で全身をぼんやり観ることです。脇見をしながらやると不思議と来る気配がよく観えます。居酒屋でもできる「ティッシュ取り」はまだまだ研究の余地ありです。面白いので是非お試しください。