「達人への道」 -6ページ目
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力をぶつけずに崩す練習

力をぶつけずに崩す練習を紹介します。これができるかできないかで身体がどれだけできているかの一つの目安となります。                                                                                                             
                                                                                                                                    
                                                                                                                         まず真正面に向かい合って立つ。守者は相手に崩されないようにその場で踏ん張る。攻者は片手で守者の腕に掌で触れて、そのまま横へ押し崩すという練習です。                                                                                                                                                                                                                                                                   うまくできれば守者は踏ん張ることができずになすすべもなく崩されてしまいます。バランスの悪い人ほど大きく崩れます。攻者のコツとして、心身をリラックスすること。柔らかく触れること。触れた圧力を変えないこと。全身を一緒に動かすこと。相手を無視してただ動くこと・・・etcです。相手に無意識筋肉反射を起こさせずに「がんばらせない」ようにするから抵抗しようがないのです。ちょっとでも接触点が力めばそれが相手に情報となって伝わってしまってまったく動かすことができません。腕力で力任せにやっても絶対に相手は動かないので、身体の使い方のチェック方法としてはとても分かりやすいものです。これができればガッチリ力いっぱい掴れても楽に柔法をかけることができます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   少林寺拳法のとある上手い人に3年ぐらい前に教えてもらったときはまったくできませんでしたが、その後2年ぐらい身体の使い方を工夫して色々やっているうちにいつの間にかできるようになってきました。この身体の使い方は「習うより慣れろ」なのだと思います。                                                                                                                                                                                

ティッシュ取り

昨日はジークンドーを経験後、現在は身体力学研究会に通っているお客様が操体施術に来られました。気配の消える動きでティッシュ取りをやって欲しいというリクエストがあったので実演してみました。                                                                                                             
                                                                                                                                                                         
                                                                                                                         ココログのブログでも何度か紹介していますが、真正面に向かい合い、守者は相手の胸の前に掌をしっかりと開いてティッシュを乗せる。攻者は腕を下へだらりとおろした状態からティッシュを取る。守者は取られないように掌を閉じるというものです。攻者は予備動作のない攻撃、気配のない攻撃の練習。守者は八方目で気配を感じる練習です。お互いのレベルによって取れたり、取れなかったりでとっても奥が深い練習方法です。                                                                                                                                                                                                                                                                   攻者のコツとして、第一段階としては、まずは最短の軌道を身体に滲みこませることだと思います。ティッシュを取ったところから元に戻すという作業を何度も行います。これにより、最短の軌道を身体に滲みこませるのです。順突でも逆突きでもかまいません。突いたところから引いてくる練習をするのと同じです。いかに遠回りしているのかが自覚できることと思います。                                                                                                                                                                                                                                                            第二段階として肩を最後まで動かさない練習をします。肩が力んで動くともう気配が相手に伝わります。真下に下ろした腕を肘から先だけを動かすことにより、相手に気づかれずに距離をつめることがコツです。一般的に少林寺拳法では肩腰を返すことが重視されますが、最初から大きく肩を入れようとすると相手に情報を与えることになり、かわされてしまいやすいです。肩を返すのは最後の最後でいいのです。                                                                                                                                                                                                                    第三段階として腕を上げるのと膝を抜くのを一致させる練習をします。膝の抜きを利用するとより気配が消えて取れる確率がアップします。最初は大きく膝を抜いて落ちるイメージ。ちょうど膝カックンをされたようなイメージです。できるようになればそんなに大きく膝を抜かなくても自然とできるようになってくると思います。                                                                                                                                                                                                                  第四段階として意識の操作です。まずは「取った」という攻撃意識を相手にしっかりとぶつける練習。これで相手がピクっと無意識筋肉反射を行えば、そのときにスッと手を伸ばせば反応できずにティッシュを取れます。これは乱捕りなどで相手に圧迫感を与えて「突くぞ!」という意識をぶつけ、相手が居着いた瞬間に攻撃したら当たるのと同じです。ただし、これはこちらが優位に立っているときしか使えません。(自分より強い人にはできないということです)                                                                                                                                                                                                                                             第五段階として何も考えずにただ取るというのをやります。こうなればもうテクニックではなくなります。操体の師匠に教わったコツは「ただ動く」ということです。心身がリラックスして攻撃意識を無くせば相手は反応できません。やはり身体が練れてくると気配が消える動きになってくるようです。これが乱捕りでいつでもできたらもう達人なのですが、実際にはとても難しいです。乱捕りでは「当てたい」という欲が出るし、お互いに緊張状態でスタートするからです。構えるということ自体が緊張と気配を生みます。特に初めての相手と乱捕りするときはなかなかリラックスできません。まだまだ宴会芸の域を出ることができないということです(>_<)                                                                                                                                                                                                                       他に簡単な取り方としては相手にフェイントをかけて開く瞬間を狙うというのもありです。これは構えた瞬間を狙いうちするのと同じです。後、右手と思わせて左手で取るのもあり。「意表をつく」のは常套手段です。一瞬横見をして相手の意識を横へ誘導した瞬間に取るのもあり。要するに取れたら何でもありなのです。そう考えるとものすごく色んなバリエーションが生まれて面白い練習になります。                                                                                                                                                                                                        守者側のコツは相手の手先を観ないこと。八方目で全身をぼんやり観ることです。脇見をしながらやると不思議と来る気配がよく観えます。居酒屋でもできる「ティッシュ取り」はまだまだ研究の余地ありです。面白いので是非お試しください。                                                                                                                         

合気上げと鉤手守法

                                                                                                         自主練習で合気上げをやりました。正座の状態で両手首を真上から全体重をかけて押さえつけられたのをぶつからずにスイっと上げるという練習です。攻者は腕立て伏せ状態になって思い切りおさえつけます。それを腕力に頼らずにぶつからずに軽く上げるというもの。身体力学研究会の講習会でやったときはあまり上手くできなかったのですが、とある武術ビデオで「意識の先端をおさえると相手が動く」というのをやっていて、そのイメージでやればできるようになりました。相手が押さえつけている力の流れ、意識の流れをイメージします。自分の膝を突き抜け、床の数メートル下あたりまで相手の意識が届いていることを感じ、その相手の意識の先端に自分の腕をもってきて上げるイメージでやると不思議と重さを感じることなく相手を操作することができるのです。イメージの力というのは本当に偉大だと思います。続いて試しに二人に諸手で片手ずつ思い切り押さえてもらったのを合気上げしてみると、左手は成功しましたが、右手は失敗。相手の力の量、ベクトルともに違うので、より難易度が高くなるようです。これは今後の研究課題となりました。「力をまとめて一つにする」というようなことを塩田剛三先生が言われていたのでそんなイメージでやってみると上手くできるのかもしれません。「それが少林寺拳法とどう繋がるの?」と思われるかもしれませんが、二人に諸手で片手ずつおさえてもらったのを簡単に上げることができれば、それはまさに鉤手守法に応用できるものではないでしょうか?実は合気上げよりも鉤手守法の方が難しいのではないか?と思います。   
                 


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